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ピロリ菌専門外来

ピロリ菌除菌治療の勧め

日本ヘリコバクター・学会は、“ヘリコバクター・ピロリ感染の診断と治療のガイドライン”(2009年)で、すべてのヘリコバクター・ピロリ感染者に対し除菌治療を行なうよう推奨致しました。

しかし、ピロリ菌に対する検査・除菌治療の保険適応は、『胃・十二指腸潰瘍』、『胃MALTリンパ腫』、『特発性血小板減少性紫斑病』、『早期胃癌に対する内視鏡治療後』の4疾患に限られ、胃がん予防としての「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する検査・治療は保険診療で行う事ができないのが現状でした。

2013年2月21日より「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」の方の、保険診療によるピロリ菌検査・除菌治療が可能になりました。ピロリ菌は消化性潰瘍や胃がんの危険因子となるだけではなく、全身にも悪影響を及ぼす可能性のある菌である事が解明されつつあります。この機会にピロリ菌の検査・治療を考えてみてはいかがでしょうか?


I. 除菌治療の対象となる方

  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍(瘢痕)
  • 胃MALTリンパ腫
  • 早期胃癌と診断され内視鏡的粘膜切除後
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(2013年2月21日~)
    ※胃カメラで胃炎の有無の確認が必要

II. ヘリコバクター・ピロリ菌とは

ピロリ菌ってなに?

正式名はヘリコバクター・ピロリという細菌で、他の菌が生きていけない胃の中にいるらせん形の細菌です。1983年にオーストラリア人医師によって発見され、ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍などの原因になっていることがわかりました。


どのくらいの人がピロリ菌に感染しているのですか?

日本人のピロリ菌感染者は約3500万人といわれています。
日本では欧米に比べると感染率が高く、特に50歳以上の人で感染している割合が高いとされています。しかし、衛生環境が整って来た事により若い世代の感染は減少傾向にあります。


ピロリ菌に感染すると・・・
  • ほとんどの方に胃炎(萎縮性)が起こります。
  • 胃・十二指腸潰瘍のおよそ90%の方がピロリ菌感染者です。
  • ピロリ菌陽性の方は陰性の方に比べて、胃癌発生の危険が数倍高い事が明らかになっています。

感染経路は?

井戸水や、幼少期に両親からの食事介助を通じて感染したルートが考え られます。


ピロリ菌を除菌すると・・・
  • 潰瘍の再発が抑えられます。
  • 胃癌の発生が抑えられます。
  • 次世代(お子さんやお孫さん)への感染拡大を予防します。

近親に胃・十二指腸潰瘍や胃がん患者のおられる方は、ピロリ菌の保菌者である可能性が高いと考えられます。
ピロリ菌の除菌治療は新しい「胃がん予防法」と考えられています。
ご自身の胃がん予防と次世代への感染予防のためにも、なるべく若い世代で診断・治療される事をお勧めします。


III. ピロリ菌検査方法

ピロリ菌の診断法

一般的には、胃カメラ検査時に胃粘膜組織の採取を必要とする侵襲的な方法と、胃カメラを必要としない非侵襲的な方法とに分類されます。

(侵襲的診断法)
採取した組織から特殊な培地でピロリ菌培養する培養法
組織染色切片上に存在するピロリ菌を顕微鏡で観察する組織鏡検法
採取した生検組織を特殊な反応液に添加し反応液の色の変化での存在を判断する迅速ウレアーゼ法

       

(非侵襲的診断法)
経口摂取された標識尿素が、ピロリ菌により分解される反応を利用した尿素呼気試験
血液中、尿中の抗体や便中の抗原測定による抗体法・抗原法などがあります。


培養法

ピロリ菌を培養します。

迅速ウレアーゼ法

ピロリ菌がもつウレアーゼの働きで
作られるアンモニアの有無を調べます。

組織鏡検法

顕微鏡でピロリ菌がいるかどうかを
調べます。


尿素呼気試験法

呼気を採取して調べる方法です。

抗体測定法

尿や血液のピロリ菌に対する抗体の
有無を調べる方法です。

抗原測定法

糞便中のピロリ菌に対する抗原の
有無を調べる方法です。


※ 血清ペプシノゲン法
胃の消化酵素の前駆体であるペプシノゲンの濃度を測定する事によって胃粘膜の萎縮の進行度を推測する血液検査です。
ピロリ菌検査と組み合わせる事によって、胃がんになりやすい方を更に絞り込む事が可能になります。


IV. ピロリ菌治療方法

PPI(プロトンポンプインヒビター)という胃酸を抑えるお薬と2種類の抗生物質の3種類のお薬を朝と夕方の1日2回1週間しっかりと続けて服用して頂きます。1回目の治療(1次除菌)で除菌が出来なかった場合にはお薬を変えて再度治療(2次除菌)を行うことが可能です。


V. 除菌の成功率

最近は使用する抗生物質に対する耐性菌が増えてきており、除菌率が徐々に下がってきています。保険診療による除菌が開始された2000年当初は、約9割の方が1回の除菌で成功していましたが、最近の報告では1次除菌の成功率は7-8割と低下傾向にあります。成績低下の原因としては抗生物質(クラリスロマイシン)に対する耐性菌の増加が考えられており、2009年より薬剤の組み合わせを変えた除菌法(2次除菌)が保険診療でも可能になりました。これにより、2次除菌までを含めると、殆どの方(約9割)が除菌に成功することが確認されています。
一方、2回の除菌治療でも成功されない方が1割程おられます。その際は、3次除菌以降を検討することになりますが、治療方法・治療成績等については全国的にも一定の見解は無く、保険適応もありません。
3次除菌以降を希望される方は自由(自費)診療となります。当院ではヘリコバクター・ピロリ専門外来(要予約)を設置しておりますのでご相談下さい。


VI. 除菌時の副作用

全国統計では、治療中の主な副作用として約3割弱の方に軟便、軽い下痢、味覚異常、舌炎、口内炎などの軽い症状の報告があります。殆どが一過性で服薬中止後には改善がみられるようです。
又、まれではありますが下血を伴う下痢、発熱、痒みを伴う発疹(薬疹)などのアレルギー反応などの報告も見られます。その際は、すぐに服薬を中止し御相談下さい。これらの副作用はピロリ菌の除菌に限ったものではないと考えられます。一般的にも、新たな薬剤使用の際はご自身の体調に充分御注意下さい。


VII. 除菌後の注意点

除菌後も定期検査(胃カメラ)の必要性

除菌により胃がんの発生率が低下する事は、統計的にも明らかになってきましたが、胃がんを完全に予防する事は出来ません。
がんの早期発見のためには除菌後も定期的な検査が必要です。

体重増加と酸逆流症状

除菌後は胃の調子がよくなる傾向があり、食べ過ぎたり、消化吸収効率が高まることから、太りやすくなる傾向があるので注意しましょう。又、胃酸分泌の改善により、一時的に食道(食道炎)や胃に炎症が起きる事があります。


ピロリ菌除菌治療の流れ

Step 1. 内視鏡検査(胃カメラ):必須
  • 食道・胃・十二指腸がんの可能性を否定
  • 胃・十二指腸潰瘍の有無の確認
  • 慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)の診断
Step 2. 感染診断
  • 内視鏡を伴う検査法(迅速ウレアーゼテスト、鏡検法、培養法)
  • 内視鏡を伴わない検査法(尿素呼気試験、抗体検査、抗原検査)
Step 3. 除菌治療(1次除菌)

胃酸を抑える薬(1剤)、抗生物質(2剤)

Step 4. 効果判定

尿素呼気試験(非侵襲的、簡便で感度・特異度ともに高く、診断精度が高い)という検査方法で除菌効果判定を行います。
1次除菌の成功率は7割程度ですが、2次除菌まで併せると9割強の方は除菌可能です。もし、1次除菌に失敗しても2次除菌まで保険適応となりますので必ず効果判定を行って下さい。

Step 5. 2次除菌(1次除菌に失敗された方)

胃酸を抑える薬(1剤)、抗生物質(2剤:1次除菌薬と一部薬剤が異なります)
1次除菌失敗の原因として、薬剤耐性(ピロリ)菌の可能性、喫煙、中途半端な服薬などが考えられます。

Step 6.効果判定

Step 4.に同じ

Step 7.ピロリ菌専門外来

2次除菌まで治療しても駆除できない方が約1割弱います。
当院専門外来受診下さい。(要予約、自由診療となります。)



当院でのピロリ菌除菌治療

感染診断

迅速ウレアーゼテスト、血清抗体、尿素呼気試験、鏡検法など ※既にPPI(プロトンポンプ阻害剤:潰瘍の治療薬で、ピロリ菌の除菌にも使われます)内服中の方は抗体法(血清抗体)にて感染診断を行ないます。

除菌判定

当院では原則的に、非侵襲的、簡便で感度・特異度ともに高く、診断精度の高い尿素呼気試験にて除菌判定を行ないます。検査後30分で結果がわかります。


除菌治療薬

●1次除菌(初回の治療)

プロトンポンプ阻害剤(胃酸分泌をおさえる潰瘍の薬)、ペニシリン系(アモキシシリン)およびクラリスロマイシンという抗生物質の併せて3種類の薬剤を1週間内服します。
ラベプラゾール(20mg)+アモキシシリン(AMPC:1500mg)+クラリスロマイシン(CAM:400mg) 分2 / 日×7日間


●2次除菌(一次除菌が不成功だった方)

プロトンポンプ阻害剤(胃酸分泌をおさえる潰瘍の薬)、ペニシリン系(アモキシシリン)およびメトロニダゾール(フラジール)という抗生物質の併せて3種類の薬剤を1週間内服します。
ラベプラゾール(20mg)+アモキシシリン(AMPC:1500mg)+メトロニダゾール(500mg) 分2 / 日×7日間


※3次除菌以降、及び薬剤アレルギーのある方は保険適応が無く、自由(自費)診療となりますのでピロリ菌専門外来へ相談下さい。 (要予約)


ピロリ菌専門外来

2013年2月21日より「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」の方の、保険診療によるピロリ菌検査・除菌治療が可能になり、胃がん予防目的で除菌希望の方も保険診療による治療が可能になりました。(2次除菌まで) 専門外来の対象者は3次除菌以降の希望者、及び以下の方を対象と致します。


対象となる方
  • 2次除菌まで失敗し、3次除菌以降を希望される方
  • ペニシリンアレルギーのある方
  • ピロリ菌感染の有無だけを知りたい方など

※全額自費での診療、及び文書による同意を得られた上記の方を対象とします。


予約

ピロリ菌専門外来は予約が必要となります。(火曜日 PM2~4時)
病院受付(医療秘書課)にお問い合わせ下さい。

〈注意事項〉
ピロリ菌専門外来と通常の保険診療は同日に行う事ができません。
したがいまして、同日の当院外来受診は控えて下さい。


●3次除菌(2次除菌まで不成功だった方)

プロトンポンプ阻害剤(胃酸分泌をおさえる潰瘍の薬)、ペニシリン系の抗生物質(アモキシシリン)、およびニューキノロン系の抗生物質(シタフロキサシン)の併せて3種類の薬剤を1週間内服します。
ラベプラゾール(20mg)+アモキシシリン(AMPC:1500mg)+シタフロキサシン(STFX:200mg) 分2 / 日×7日間


●4次除菌(3次除菌まで不成功だった方)

プロトンポンプ阻害剤(胃酸分泌をおさえる潰瘍の薬)、ペニシリン系の抗生物質(アモキシシリン)、2種類の薬剤を2週間内服します。
ラベプラゾール(40mg)+アモキシシリン(AMPC:2000mg) 分4 / 日×14日間


●ペニシリンアレルギーを有する患者

ペニシリンアレルギーの方は、以下の薬剤、用量で除菌します。

・一次除菌
ラベプラゾール(20mg)+メトロニダゾール(500mg)+クラリスロマイシン(CAM:400mg) 分2/ 日×7日間

・二次除菌
ラベプラゾール(20mg)+メトロニダゾール(500mg)+シタフロキサシン(STFX:200mg) 分2 / 日×7日間

※いずれの治療時も副作用軽減(下痢)目的に整腸剤(ビオフェルミンR)併用致します。
※いずれの治療時も内服中は禁酒・禁煙です(飲酒、喫煙により薬の作用が弱くなって除菌が成功しにくくなったり、薬の副作用で悪酔いしたりする事があります)。


診療料金

①初回説明受診 ¥3,000

ヘリコバクター・ピロリ感染症認定医により、診断・治療法・注意事項等について説明があります。

②感染診断(ピロリ菌検査) ¥6,000

尿素呼気試験(※)+血清ペプシノーゲン(胃癌リスク推定)
※既にPPI(プロトンポンプインヒビター:潰瘍の治療薬で、ピロリ菌の除菌にも使用されます)内服中の方は抗体法(尿中抗体)にて感染診断を行ないます。

③2次除菌失敗時の3次除菌および除菌効果判定 ¥17,000

除菌薬+除菌効果判定(尿素呼気試験)
除菌薬内服終了約1ヶ月後に除菌判定:

④3次除菌失敗時の4次除菌および除菌効果判定 ¥17,000

除菌薬+除菌効果判定(尿素呼気試験)
除菌薬内服終了約1ヶ月後に除菌判定:

⑤ペニシリンアレルギーを有する方の除菌および効果判定 ¥17,000

除菌薬+除菌効果判定(尿素呼気試験)
除菌薬内服終了約1ヶ月後に除菌判定:


※除菌後効果判定時は絶食(飲水可)にて来院されて下さい。
結果は当日説明します。除菌成功時は治療終了。

通常は①+③or④or⑤=¥20,000の料金となります。

※これまでの除菌経過や検査結果がわかる方は、できるだけ紹介状や検査結果のコピーなどをご持参下さい。


※2013.12.01 改定